心の景色の旅に出る。

こころふるえるだれかとの時間、そのものの中にあるだれかの想い、だれかの、じぶんのこころを旅したその軌跡を綴っています。

漂流女子。妊娠に悩み漂流しながらも生き抜く女性たち。彼女たちが、漂着出来る港でありたい。

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漂流女子。


望まぬ命をその身に宿した、

ひとりひとりの女性の物語。


勇気を出して、

一人で抱え込まずに

SOSを発した女性たち。


彼女たちの心に、


メールの中で、

電話で声を通して、

実際に会って、寄り添う。


そんな活動をしている団体がある。


にんしんSOS東京。


クラウドファンディングで資金を集め、

たった数名から始まった有志の活動だ。


単なる情報提供だけではなく、

一度きりの限定的な支援ではなく、

継続的に彼女たちの選択に寄り添いたい。

 

 

産むにしても。

産まないにしても。


命が宿ったことそのものに意味がある。


彼女たちが何をどう選択したとしても。

わたしたちは彼女たちの選択に寄り添うと。


 

団体が活動を開始して2年が経過した。



わたしは彼女たちの物語に触れて、

悲しむのかもしれない、怒るのかもしれない、

そんなことを、この本を読む前には思っていた。


彼女たちの境遇にも選択にも行動にも。

たくさんのさまざまな考え方があるだろう。


何を是とするかも人それぞれ。

わたしとは違う捉え方をする人もいるだろう。


でも、まったく誤解を恐れずに言えば、

わたしは彼女たちから生きる強さを感じた。


 

この本に登場する彼女たちは、

確かに辛く厳しい環境で生きてきた。


暴力を受けて育児放棄されて

健康保険証すら使うことができず。


性交を拒みきれず強要されて命を宿した。

誰にも相談できず誰にも相談することなく。


生きるか、死ぬか。

生かすか、手放すか。


究極の選択とも言える中で。


彼女たちは生きていた。自分を。


彼女たちが可哀想だって思うのは簡単だけど。

彼女たちはさまざまな事情の中で背景の中で、

生きていたんだと思ったのだ。とても、強く。


こういう本を読んでいると苦しくなることが多い。

でも、この本には不思議なほどにそれがなかった。


中島さんが繰り返し伝えるように。

この本には彼女たちの生命力が宿っていた。


美化するつもりはない。

彼女たちの心を体を侵して

ひとつのふたつの命を害した

男たちに安堵も安心も与えるつもりはない。



でも。

怒りだとか悲しみだとか、

そこにばかり目を奪われないのは、



それは、中島さんの視線かなと思う。

たぶん、彼女はメールを電話を受けた、

ひとりひとりのことを人として尊重してる。


可哀想だとか助けなきゃとか、

自分が上に立ったりしていない。


ただ目の前に立ったひとりの女性と、

まっすぐに向き合っているのだと思う。


彼女と初めて会った時、密かに驚いた。

本当に、どこにでもいる普通の女性だったから。


強くも激しくもなく、ただただ普通の女性。

彼女のどこにこんな団体を立ち上げるだけの力が、と。

そう思うと同時に彼女の瞳のまっすぐさは、

彼女と繋がるきっかけとなった、

尊敬する女性の持つそれととても似ていると思った。


なぜだろう。とても不思議なことに、

初めて彼女と会った時の彼女の瞳の色が、

あの時の部屋の風景とともに忘れられない。

  

 

団体が立ち上がったあの時から、

この本が発行されるまでの彼女たちの歩み。


そこには、本当に尊敬の念しかない。


目の前の人を尊敬して尊重して。

ただまっすぐに対等に向き合って。


言葉にすれば何てことのないものだけど、


それがどれほどに難しく大切で重要なことか。


 

そして、

そんな場があることが、

どれだけ救いになることか。


女性である以上、

女性とお付き合いする以上、

 

誰もが、


「思いがけない妊娠」

「望まない妊娠」


と出逢う可能性がある。


それは起こって欲しくない現実も含め。


どんな可能性もある、

そんな世の中にわたしたちは生きている。

 

 

だからこそ、

老若男女問わず、

すべての人に読んでほしい。


読まなくても、

「にんしんSOS」

という場があることを知り、

だれかに伝えていってほしい。


妊娠した時、

誰もが相談できるわけじゃない。


幸せで望まれた妊娠ばかりが、

この世の中にあるわけじゃない。


父に、母に、

娘に、息子に、

友人に、知人に、


いつ、

どこで、

誰に。


その瞬間が訪れるかわからない。



誰にも相談できなくても、

ここなら打ち明けられるかも。



結果的に何も起こらなくても。



ただ「知識として知っている」


それが本当に大切だと思うから。

 

 

窓口は女性限定ではありません。

男性にも開かれています。

 

 

性交の現実も

妊娠の現実も

中絶の現実も


にんしんSOSの存在も、


「あたりまえの知識」


として広がりますように。



ひとりで泣いたり悩んだり、

絶望したり命を絶ったりする人が、

少しでも減りますように。

そして、なくなりますように。



にんしんSOS東京

https://ninshinsos-tokyo.com


漂流女子 ――にんしんSOS東京の相談現場からー― (朝日新書)

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