読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

心の景色の旅に出る。

こころふるえるだれかとの時間、そのものの中にあるだれかの想い、だれかの、じぶんのこころを旅したその軌跡を綴っています。

不安からひたすら逃げるために怒鳴り、従えることの、辛さと哀しさと。

彼は、怖いのだ。恐ろしいのだ。



怒鳴り、喚き、高圧的に振る舞うその姿は、彼の弱さの裏返しだ。



彼は常に怯えている。


常に怒鳴り、誰かを従えていなければ不安でたまらないのだ。


彼の瞳の揺れる様が、彼の胸中を映し出す。



何度確認しても、何度屈服させても、足りない。



不安が消えない。最後まで、何度も何度も。終わりが見えない。



不安の形がそこにある。



摑みどころのない、いつまでもそこにある、不安。



どれだけ確認しても、どれだけ確認させても、本当に大丈夫かどうかは蓋を開けてみなければわからない。



その、蓋を開ける直前まで。



例えどれだけ最善を尽くしたとしても。



不安は消えない。常に胸中に蟠る、それ。



それを必死で振り払うかのように、彼は高圧的に振る舞う。



その虚勢を崩したら、闇に呑み込まれてしまうからだ。



怒鳴り、部下を従え、行動することで、目の前で自分の不安が埋められていく様を確認することで、それに打ち克とうとする。



けれど。



不安は形のないもの。



いくら埋めても、いくら抗しようとしても、いつまでもいつまでもそこにある。



まるで水を掴もうとするかのように、掴んでも、掴んでも、するりと掌から零れ落ちて、目の前には何時間経っても何日経っても変わらぬ不安という海が遥か彼方まで広がる。



その不安が形になる、その手前。




いくら掬っても掴んでもまったく姿を変えない海の姿を見て、彼はますます恐怖に駆られる。




ああ、




ああ、




もうすぐ、




あの不安が。




かたちになる。




あの海の水は、




あっという間に津波となって。




わたしのからだとこころを攫っていくだろう。




いますぐ、どうにかしなければ。



いますぐ、どうにかさせなければ。




わたしは、あの黒々とした海の中に呑み込まれてしまう。







そんな毎日は、とてもとても辛いのではないだろうか。






怒鳴られ、否定され、罵倒され、従うわたしたち。



けれど、一番辛いのは、彼自身、なのかもしれない。



部下を罵倒する彼の姿は、どこかとても哀れで哀しい。



決して逃げ得ぬものから必死で逃げ続ける彼の毎日は、




しあわせ、




なのだろうか。




そんなことを、思う。




なんとなく、




なんとなく、




そろそろ彼は本当に辛いのではないかな、と、ふとそんなことを感じたのだ。




そろそろ、このループを、終わらせなければ。




彼にとっても、この組織にとっても、良くない未来を招くような。




彼と、この組織のために、そして自分自身のために、流れを変えるタイミングが来たのかもしれない、とぼんやり考える。


f:id:kayamy:20170113220550j:plain