心の景色の旅に出る。

こころふるえるだれかとの時間、そのものの中にあるだれかの想い、だれかの、じぶんのこころを旅したその軌跡を綴っています。

おとなの学校 勝手にサーカス!? DJダイノジ 〜1997年エンタメ革命論〜

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おとなの学校 勝手にサーカス!? 第三夜


彼の名前は聞いたことがあったけれど、実際に話を聞くのは初めてだった。

彼が話し始めたその瞬間、これは本物だ、とそう思った。

彼の言葉はその勢いでもってその場の空気を一気に掻っ攫った。

彼が話し始めた瞬間に、その場にいる全員が、彼の話から片時も目を逸らすことができなくなった。

彼の、その言葉ひとつひとつに込められた熱量が桁違いだった。

話し始めたその瞬間に、その言葉だけでその場を満たす、自分の世界に引きずり込むその強さ。

彼はその言葉だけで、あっという間にその場を彼の空間に作り変える。


その彼が語ったのは、これまた桁違いの世界の話だった。


1997年エンタメ革命論。


1997年11月、一世を風靡した「ダウンタウンのごっつええ感じ」が突然終了する。

その少し前の9月に、ビートたけし司会の「平成教育委員会」のレギュラー番組としては終わりを告げた。

同じ年に、長い歴史を持つ二つの番組が終了したのは決して偶然ではない。この年は山一証券を始めとした日本を代表する証券会社の相次ぐ破綻、神戸での小学生殺傷事件が起こるなど、日本全体が不安定になり、先行き不透明な暗雲に覆われた時代だった。

ダウンタウンビートたけしのような、厳しいツッコミのスタイルをもはや日本国民は受け入れることが出来なくなったのかもしれない。

そんなことを、大谷さんの話を聞きながら思った。

大谷さんは、エンタメをその瞬間で、今だけで見てはいない。自分がやりたいことだけで見てはいない。もっと大局的に、過去からの繋がりと現代の状況を見て、そうしてエンタメの未来を見ている。先を見ている。

そのスタンスは、西野さんのスタンスとも似ていた。

彼らは、エンタメの提供者であると同時に、新しいエンタメの、新しい世界の構築者だ。やり方も考え方も違うだろうけれど、彼らは決して今だけを見ていない。常に先を見ていて、その未来に向けての先手を考え、そして打ち続けている。

DJダイノジのスタンスもそうだ。

彼は「DJ」ではない。「DJダイノジ」なのだ。

彼が行うパフォーマンスは、ただのカラオケだとかあらゆる方面から批判され、揶揄される。

それは、彼のスタイルが、既存のどの枠にも当てはまらないから。

だからこそ、彼が提供するものは、「DJダイノジ」としか表すことができない。

彼は言う。

「あなたの好きを肯定しに来ました」

と。

声高らかに。

一瞬の逡巡も躊躇いもなく。

どんなものでも、どんな形でも。

「あなたの好きを肯定する」と。


夫婦が三人だっていい。二次元が好きだっていい。

好きの力は最強だ。好きがあるならそれを全力で肯定する。

それが例え何であったとしても。世間的には非難され否定されるものであったとしても。

あなたが純粋に、本当に純粋に、心からそれが好きだと叫ぶなら。

それを肯定する。迷いなく、まっすぐに、全力で。

好きがなければ今後の世界で生きていはいけない。

好きの力こそが未来を作る。爆発的なパワーになる。


DJダイノジが音楽を流し、ステージの上でホームレス小谷さんと森森子さんが最高に楽しそうに踊る。

その瞬間、ライブハウスの中は、DJダイノジの世界になった。

本当に、その瞬間は魔法にかけられたようだった。奇跡を見ているようだった。

その場にいる人は、音楽で歌い踊ることが好きな人や得意な人ばかりではなかったはずだ。わたしだって、そういうことは凄く苦手だ。ノれない、踊れない。

けれど、一瞬にして、その場DJダイノジの魔法にかかったのだ。

本当に、一瞬だった。一瞬で、みんなが歌って踊って腕を振り上げステップを踏んだ。みんながみんな、楽しそうに嬉しそうに踊り出した。

これはなんだろう、と思った。

まるでキツネにつままれたようだった。

こんなにも、一瞬で、場を変えてしまえるのか。

ひとり残らず「DJダイノジ」の世界に引っ張り込んでしまえるのか。


それは、戦慄が走るほどに、鮮やかで、凄い光景だった。


あっという間に場がひとつになって、みんなでぐるぐる回って歌い踊ってすべての人が。


彼が話すその言葉を聞いた時も、彼のことを本物だ、とそう思ったけれど、彼のパフォーマンスが始まったその瞬間に、彼の真骨頂を見た。

ただただ、凄いものを見ていると。

凄い場に立ち会っていると。

心が震えるその音を、ただただ聞いて。

この瞬間を、この空気を、ほんの少しのかけらだけでも拾いたくて、夢中でシャッターを切った。

結果として、そのかけらすら拾えなかった自分に絶望するのだけれど。


それほどに、凄い空間だった。

わたしは、ここに来れたことに心から感謝した。


なんだこれは、と思った。


演者も観客も関係ないどころか、観客あってのエンタメ。

エンタメの新しい形がそこにあった。

「DJダイノジ」は、「DJダイノジ」だけでは成り立たない。

観客が歌って踊って会場が一体になってひとりひとりが楽しんでくれてこそ、「DJダイノジ」のステージは完成する。

多分、これが新しい世界だ。


大谷さんは言う。
1997年から10年後の2007年も、10年前の1987年もエンタメ界に革命が起こった。
そんな風に、10年サイクルでエンタメ界には革命が起こる。


そして、来年は1997年から20年後の2017年。


来年も、何かが起こる。確実に。

そして今も、その片鱗が見えている。


大谷さんは、2017年を見据えてその先の世界を描いているのだろう。

それが、「DJダイノジ」のスタイルなのだろうと思う。


あれだけ感動して心うたれたのに、大谷さんのトークそのものは、実は詳細を覚えておらず、書きおこすことが出来ないのが本当に悔やまれる。時間を置くとやはり忘れてしまう。

あの感動を伝えられないこと。それが残念で仕方がない。
それを痛烈に後悔し、反省した。鮮度が本当に大切なのだ。


その後悔はありつつも、あの素晴らしいステージを、時間をくれた大谷さんに、そのステージを支えてくれた小谷さんと森さんに、心から感謝したい。


ありがとうございます。

あの場を体感できたことを、心から幸福に思います。


なお、次回の勝手にサーカス!?は1月15日!
気になる方はこちらをチェックしてください!!
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