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心の景色の旅に出る。

こころふるえるだれかとの時間、そのものの中にあるだれかの想い、だれかの、じぶんのこころを旅したその軌跡を綴っています。

蜂蜜午餐会。この日この時限りのコースとともに、豊かな出逢いを愉しむ時間。

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色とりどりの、産地も蜜も蜜蜂も季節も何もかもが異なる個性豊かな蜂蜜たちと、この場でしか食べることの出来ない、至高の料理の数々。

蜂蜜たちを揃えるは、その口ぶりからこだわりから、蜂蜜への愛が溢れる高安さん。
その高安さんの愛を受け止め最高の蜂蜜とのマリアージュを創り上げるは山形の名店、アル・ケッチァーノの奥田シェフ。

このお二人がいなければ、出逢わなければ、この世に現れることがなかった、こうして食べられることもなかった、唯一無二の、料理と蜂蜜の蜜月。


高安さんの美しさと柔らかさにまずは見惚れ、蜂蜜を説明している時の、奥田シェフとお話されている時の、とにかく無邪気で素直で少女のような可愛らしさに射抜かれつつも、蜂蜜をひとつひとつ味わいます。


この日は冬至、今年最後の午餐会。いつもは提供出来ない秘蔵の蜂蜜も大放出。

お花と合わせた蜂蜜は、まるで香水のような上品な香りを漂わせるもの、目の前に本物の花があるかのような瑞々しい花の芳香を漂わせるもの、各々個性が際立って。

そして一口食べると豊かな蜂蜜の味が舌に広がる。あるものは鮮烈な爽やかさを、あるものはまるでそれだけでひとつのデザートのような複雑な味わいを、あるものはまるでシャーベットのような舌触りでわたしたちを楽しませる。



最初の蜂蜜のテイスティングだけでもう、十分満足…!と思うほどに、最高のスタートを切ったこの会の、これらは単なる序章でした。


サーブされた料理は、最初の一品からもう心が持って行かれる素晴らしさ。

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冬至の日にふさわしく、かぼちゃを使ったお料理は、ふわふわしたスフレのような、まるでババロアを食べているかのような、スイーツとも見紛う口当たりと優しいお味。

かぼちゃにホイップクリームを合わせるという離れ業。

ふたりでもうこれを食べられただけでここに来た意味があった…!と飛び上がって喜んだほど。


初めての食感。初めての味わい。ただただ、食べ終わるのがもったいなくて、ゆっくり、ゆっくり味わいました。

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二品目の、鱈とジャガイモの水煮は本当に本当に優しいお味。調味料も最低限で、鱈とジャガイモのそのままの風味が舌を通り過ぎる。この優しい素朴な味に合わせるのがピリッとスパイスの効いた蜂蜜とブラックペッパーだというのがまたいい。

優しい柔らかな味が、蜂蜜と、ペッパーと合わさって、全く違う味わいの世界を演出するのです。

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三品目はフォアグラ。
まるでぶどうのような香りの蜂蜜に合わせるためにだけに、この時期入手困難な白ぶどうを贅沢に使用。白ぶどうの瑞々しく爽やかな香りと風味に合わせるためか、フォアグラもとても優しく軽やかな味。重い味付けや焼き上がりにはせずに、ただただやわらかくとろけるような食感。

こんなに美味しく、また重さを感じないフォアグラを食べたのは初めてでした。

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四品目はこの日のダークホース。

ウニと、イクラと、パンナコッタ!
まさかのデザートにしか現れないだろうパンナコッタを、ウニとイクラと合わせるというこれまた離れ業。

これはもう、未知の味としか言いようがない一品。柔らかなウニの身が濃厚な蜂蜜と合わさって、まるでプディングのような舌触りで、パンナコッタの滑らかさと調和する。ウニとイクラの塩味が、パンナコッタの優しいほのかな甘みと絶妙なコンビネーションを創り上げる。

この三品を合わせようとすることも、こんなに美味しいものに仕上げることも、本当に素晴らしいと感動する、この日の1番のお料理でした。


料理の多くは、絵を描くようなものだと奥田シェフは言う。目の前に景色があって、それを参考に自分なりに自分の絵を描く。

けれど、この料理は建築のようなものなのだと。何もないところから、これとこれを合わせてみたらどうだろう、と土台から一から創り上げる。そして、その設計図を銀座の料理長に手渡して創り上げたもの。


高安さんが選んだ蜂蜜を、舌の上で転がして、この蜂蜜と同じ糖度の、同じ甘みを持つ食材はなんだろうか。頭の中中でそれらを合わせて味わってみる。
そうやって、新たな料理は出来上がっていく。


写真家は、撮る前に出来上がりの画が見えている。彫刻家は、その木の中に完成した姿を見る。

そして、料理人も、食べる前から、作る前から、頭の中ですでに出来上がっているのだ。形も、味も、食感も、すべて。

調理をする過程は、そのイメージを現実化するためのすり合わせ作業、確認作業なのだ。


頭の中で出来上がったあの味を、あの食感を、現実世界で表すために、微調整を繰り返す。その中で、奇跡の出逢いがあることもあるだろう。けれど基本は頭の中のあの料理を「再現」しようとしているのだとそう思う。

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五品目はスズキのソテー。赤と緑が散りばめられたその姿は、まるでクリスマスツリーのよう。

ぱりぱりの皮と今度はしっかりお味のついた、スズキの食感が、またさらに幸せ感を倍増する。
シンプルだからこその味わい。素材の味をいかようにでも活かしていくのが奥田シェフ。そんなことを感じたり。

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六品目。もうかなり大満足を通り越したわたしたちの目の前に現れたのは、猪の赤ワイン煮!!

猪と言えば、独特の歯ごたえと個性を感じる味…と思いきや、フォークを少し斜めに入れるだけで、ほろほろとほどけるほどに柔らかく煮込まれたお肉。独特の味は、その個性を残しつつも、決して強く主張することなく、肉の柔らかさと同じように、優しく舌の上を滑っていく。

こんなに贅沢にも美味しい猪を前に、奥田シェフが言うことには、メインはパスタだと。
けれどその言葉に頷けるほどに、濃厚なチーズ絡まるパスタはこれまた濃厚な蜂蜜と合わさって、なんと表現したら良いのかと戸惑うほどに、魅惑のハーモニーを奏でて。

もちろん猪も震えるほどに美味しいけれど、このパスタをひとつずつ、丁寧に食べたいと、そんな風に思ってしまうほどの、至福の一品でした。

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最後に控えるのは、ジェノワーズダマンドとフレッシュな苺。濃厚な猪とパスタの後は、爽やかな苺と甘くないクリームが心を満たしていく。

デザートは一品だと思いきや、なんともう一品!
最後の最後は凍らせたチョコレートと氷を砕いたなんとも不思議なデザート。シャーベットともかき氷とも違う、細かく残ったチョコのかけらと冷たく清涼な氷のコラボレーション。これは実際に食べてみないと伝えられない。

最後の最後まで目にも心にも楽しく、お腹もココロも満たされる、素晴らしい料理の数々。
この日だけの、スペシャルコース。この日だけの幸せな時間。

それは、料理だけではなくて。この場を作ってくれた高安さんのお人柄、蜂蜜への溢れるほどの愛と。そしてこの場に集ってくれた、出会ってくれた方々のおかげだなあと、心からそう思うのです。

素敵な場に集まる人は、やっぱりみなさますべてか素敵な方ばかりで。美味しいね、幸せだねってそう話し合う、その時間がとても幸せで愛おしかった。

そして、奥田シェフのお話も。ここには書ききれなかったのでまた別の機会に書くけれど、奥田シェフの哲学に、あり方に触れることが出来た時間。

なんて豊かで幸せなんだろうと、そんなことばかりを思います。

 この日ご縁が頂けたこと、一緒に過ごせたこと、本当に本当にありがとうございます。

そして、素晴らしいご縁を繋いで頂いた苺さん。本当に、本当に、ありがとうございます。

あまりにも幸せすぎて満たされすぎて、この日は夜のご飯は食べる気になりませんでした。
夜の大仕事を終えたらまるで気を失うかのように眠り、そしてとても幸せで心地よい朝を迎えることが出来ました。  


高安さん、奥田シェフ、山形サンダンデロのみなさま、この日ご一緒していただいたみなさま、本当に、本当に心から。ありがとうございます。

とてもとても幸せな時間でした。


そんな素晴らしいお料理と素晴らしい出逢いに満たされる、素敵な蜂蜜会。
本当に、本当に、ありがとう、ございましたー!!!


またお会いできる時を、ご一緒できる日を、心から楽しみにしています。


さて、この本当に素晴らしい素敵な場を作っていただいた奥田シェフが、何年もの歳月を費やし、自分の魂そのものとも言えるような本を出版されました。
気になる方がいらっしゃいましたら是非。
アル・ケッチァーノなど直営店またはサポーターズクラブにて取扱中とのことです。

食べもの時鑑

奥田シェフのホームページ