心の景色の旅に出る。

こころふるえるだれかとの時間、そのものの中にあるだれかの想い、だれかの、じぶんのこころを旅したその軌跡を綴っています。

エヴォリューション 母の残酷な夢。先のないユートピア。

※読後感悪いですのでご注意ください。



その島には、女性と少年のみが住む。



どこまでも、美しく、深い、深い海。


その海が、その島の深い深い秘密を、


どこまでも、どこまでも、美しく、



包み込んでゆく。






少年は、10歳だった。


少年は、毎日薬を飲む。


そして、病院へ、行く。



なにひとつ、からだのどこも悪くなどないのに。



それが、この島の掟かのように、


病院へ行く。


薬を飲む。


注射を打たれる。



手術台の上に、載せられる。



この島には、大人の男性はいない。



ニコラが見た、少年の死体とヒトデ。



搾取される、生と性。



ぼくたちは、大人にはなれない。


ぼくたちは、生きることも、性を自覚することもない。


未分化な、「少年」という曖昧な存在のまま。



死んでいく。



ぼくたちは、器だ。



彼女たちのための。



ぼくたちの生は、


「器」としての役割を果たした瞬間に、





終わる。






ぼくたちは、そのための存在。




この島の、すべての少年が、



生きているのではない。


生かされているのだ。



来る日のために。



彼女たちが得たい命のために。




ぼくたちは、器。




けれど、




それは、





この島の外でも同じではないか。





彼女たちは、



母たちは、



子ども、



という器に、



自分の夢を注ぐ。



子どもの手足を縛って、



手術台に載せて。



自分の夢をその身に注射する。



そこから、自分の夢が産まれることを、



祈って。



あなたのために。



あなたのためよ。




その言葉で、



毎日、



子どもを侵食していく。




そして、子どもが大人になることを、



自分の元から自立して離れることを、




望みながら、望まない。



いつでも、



いつままででも、



わたしの、



夢の製造器でいて。




この、どこにも繋がらない、



美しく、どこまでも美しく、



果てのない、






羊水の中に沈むように。




エヴォリューション

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