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心の景色の旅に出る。

こころふるえるだれかとの時間、そのものの中にあるだれかの想い、だれかの、じぶんのこころを旅したその軌跡を綴っています。

心に残る出会い。場所。何を食べたかどんなサービスを受けたかではなくて。どれだけ心を通わせたか。

下関駅のすぐそばに。

何年も、何十年もやっているような、お店があった。

 

カウンターで食べているのは明らかに地元の人で。

この店が、地元の人たちにとても愛されているのがわかる。

 

お店の店員さんも控えめで優しくて心地よく。

食べた料理はすべてが美味しかった。

 

漁師さんと契約しているというその名に違わず、東京で食べるサバとは明らかに違う身の締まりに新鮮さ。

東京でなら、相当の高級店でもこの味は食べれないのではないか、と思うほどに、今まで食べたサバとは全く違う魚みたいに美味しかった。

 

ここの名物は天然のふぐ。

 

確かに美味しかったけれど、それよりも、普通に出てくる卵焼きの美味しさの方が記憶に残る。ふぐを食べなくても、十分満足できる、そんな店。

 

あったかくてやさしくて、出てくる料理はすべてが美味しい。

 

それでも何よりこの店が、わたしの心に残った理由。

 

それは帰り際のお母さんの一言。

 

 

どこから来たの。

 

東京から。

 

東京のどこ?

娘が東京に嫁いでしまって。

中々帰ってこないから、

何だか東京の人が来ると懐かしい。

 

そんな風に、少しだけ、そのお店の人の人となりがわかったり。

そこにいる人の温度や生きているその背景が知れたりすること。

 

それが、そのお店と、その場所と、わたしの心をより近くする。

 

ただ料理を作る、料理を食べる、それだけの、関係ではなくて。

 

もっと「人として」触れ合えたような、そんな気持ちに、なる。

 

 

何年も前に訪れた屋久島。

その屋久島で、たくさんの場所に行ってたくさんの人に会って。

 

それでも、すぐに心に思い浮かぶのは、そんな話をした人たち。

 

 

いつまでも心に残るその記憶は、決して素晴らしいサービスを受けたとか、そんなことではなくて。

どれだけ血の通った、心が触れ合うような、そんな時間を過ごしたか。わたしの記憶の中には、料理が美味しかったことも、サービスが素晴らしかったことも、すべてすべて残っている。

 

けれど、思い出すそのきっかけは、あの時の笑顔だったり、あの時の会話だったり、共に過ごした時間だったり、するのだ。

 

 

旅先での、ほんの1、2分に満たない心の交流。

 

でも、そんなものがわたしの心には残ってゆく。

 

 

三桝

http://mi-masu.com


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