心の景色の旅に出る。

こころふるえるだれかとの時間、そのものの中にあるだれかの想い、だれかの、じぶんのこころを旅したその軌跡を綴っています。

ある日の不思議な邂逅と符号の話。1年前の約束を、図らずとも果たすことになった話。

ずっと前に、緑を部屋に置くといいよ、と言われていた。
それから、ずっとずっと、部屋に緑を招き入れたかった。

自分にとって、花や草木がどれだけ大切なのか、わかっていたから。

毎週、お花を買っていた時があった。
お部屋に花があるということは、とてもとてもわたしを幸福にした。

だから、緑が部屋にあるということが、どれだけわたしを幸せにするか、十二分に分かっていた。

分かっていたのに、なんとなくそんな気になれずに。
そして、あの言葉をもらったあの日から、一年が経とうとしていた。

ずっと招き入れたいと思っていたのに、わたしは今までうまく植物を育てることが出来なかったから。
無意識のうちに、また同じように枯らしてしまうことを恐れていたのかもしれない。


けれど、そんな恐れを吹き飛ばすほどの出会いは突然現れた。


その日、友人と話していて、今日こそは部屋に置く緑を買うのだと、そう決めてたくさんの緑を見た。

けれど、どのお店のどの緑も、どうにもピンと来なかった。ひとりひとり、とても美しくて素晴らしいのに。それでも、どこかでこのひとじゃない、と思っている自分がいた。


けれど。


ふらりと立ち寄った店に彼はいた。


そのお店の中で、彼だけは明らかに違っていて。
どうしても、どうしても目を離すことができなかった。

他のお店であんなにたくさんの緑を見たのに。
そのお店にも、たくさんの素敵なひとがいたのに。


とてもではないけれど、今のわたしの状況では招き入れるには高嶺の花すぎるそのひと。


それでも、目が離せなかった。


何度も何度も彼の前を往復し、他の木々を手慰みに見てみたりして。彼の育て方を聞いてみたりして。


でも、結局のところ、そんな風に時間稼ぎをしなくても。彼を見つけたその瞬間に、答えは出ていた。


彼を家に迎え入れたい。


彼と共に過ごす日々はどんなにか幸せだろう。


そう思ったその時に、結末は見えていた。


決めたら何も気にならなくなった。
ただただ、嬉しい幸せだけがそこにある。


彼を招き入れることを決めたその次の日に。

予定も何も決めていなくてふらりと立ち寄ることにしたその場所で、あの時わたしに緑を置くといいよ、と言ってくれた人に再会した。


そしてまた、同じ言葉をもらったのだ。


そしてわたしは今度はこう答える。

「明日、来るんです」

と。

そんな符号もまた面白い。

f:id:kayamy:20161021232509j:plain