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心の景色の旅に出る。

こころふるえるだれかとの時間、そのものの中にあるだれかの想い、だれかの、じぶんのこころを旅したその軌跡を綴っています。

伊勢神宮、奇跡の旅路のお土産。そこに、誰がいるかがすべて。

伊勢神宮から離れる時に。
赤福本店の赤福を買った。

わたしの大好きなバーのママが大好きな赤福

赤福の賞味期限は3日。週末にバーに行く予定があったのだけど、それでは間に合わない。

でも、ちょうど伊勢から帰ってきたその日が、ママの記念日だった。
それならその日に持って行こう、と急遽決めて予約もなしにいきなり押しかけた。一人で行くのも予約もしないのも初めてで。そういう意味でちょっと緊張したりした。

赤福なんて結構いろんなところで買えるから。お土産でもいっぱいもらうから。賞味期限も短くて、食べきれるかなんてわからない。

それでも伊勢で買った赤福を、届けたいと思ったのだ。

前日寝不足で、というかここのところずっと寝不足で、テンション低めでぼーっとしてたのも申し訳なかったけれど。お祝いの手紙も、花の一本もなかったけれど。でもこの日だなあって思った。


ママがママとして3ヶ月必死でやり抜いてきた記念の日。


たった3ヶ月、されど3ヶ月だ。
昔から、3日、3ヶ月、3年と言われる。

3日やり続けることが出来れば、3ヶ月続けられる。
3ヶ月やり続けることが出来れば、3年続けられる。
3年やり続けることが出来れば、一生、続けられる。

3ヶ月、というのは一つの節目なのだ。次の3年へ向けての。
そして、3年やり続けたら、その後一生やるかどうかは、その人の選択だ。

一生続けることも出来るけど、これから自分はどうしたいかどうするか。それはその人の選択次第。続けることが「出来る」ことと、「続けたいと思う」かどうか、は別だから。

その、ひとつの山を越えたという、その記念の日を、祝いたいと思ったのだ。


わたしが尊敬するのは彼女の覚悟。
彼女は自分を追い込まないと、と言うけれど。

彼女は、客が見込めないからと、予約が入ってないからと、決して気を抜くことなく着物を着付けてメイクして、髪をセットして出勤する。

当たり前のこと、なのかもしれない。

けれど、何の経験も後ろ盾も保証もない中で、それでも自分の矜持を保って、決して自分も他人も誤魔化さず、カウンターの向こうに立つ姿。

それは、尊敬以外の何者でもない。

どれくらいかかっているかなんて知らないけれど、着物の着付けにもメイクにもセットにも。相当お金がかかってるはず。
そのお金を使っただけ、稼げるなんて保証はない。人が来るなんて保証はない。

けれど、彼女はまずは3ヶ月、全力でやると自分に誓ったのだ。例え誰一人来なくても。

全力でやって、それでも上手くいかないならそれはその時のこと。

でも、全力でやらずに諦める、なんてことはしたくない。

とにかく、この3ヶ月を乗り切るのだと。そして、全力でやったなら、自分がこの道を進むかどうかは、その先に自ずと現れる。


その、まずは3ヶ月、の3ヶ月が終わった。


そして、彼女はまだバーに立ち続けている。

それが、彼女が積み重ねてきたものの結果。

彼女のことを大好きな人たちが、いたから。


彼女が自分に嘘をつかず、丁寧に真摯に積み重ねてきた人との時間。

今だけじゃなくて、多分昔から、ずっと彼女はそうだった。

彼女の周りにいる人たちは、それをみんな知っている。

だから、彼女の元に通いたくなる。彼女に会いたくなる。

彼女がいつもそこにいる、が会いにいく理由になる。

いつもそこにいるから、ちょっと時間が出来た今からでも会いに行ってみようかな、ってそう思う。

ふとした瞬間に、会いたいなって思う。ちょっと無理をしてでも。ちょっと予定をやりくりしてでも。


このお店は、ドリンクも料理も美味しい。
それは間違いなく。バーだからドリンクはともかく、料理がこれだけ美味しくて充実しているところは他にはない。

でも、やっぱりこのお店に人が集まるのはそこじゃない。


そこに、彼女がいるから。


もう今はなくなってしまったけれど、新宿歌舞伎町にわたしが大好きな人がいるバーがあった。

駅から遠いその場所に、わざわざ通ったのは、やっぱり彼がそこにいるからだった。

彼も人との縁を、人との繋がりを大切にする人だった。
そして、その人と、真正面から真摯に向き合う人だった。

だからこそ、彼の店には人が集まった。いつも笑顔で溢れていた。悩みも彼と話せばどこかに吹っ飛んだ。

そして、彼も、ママも、とにかく前向きで明るかった。

それは、ただ楽天的な明るさではなくて、ほんとうに様々な苦難を前に、傷付き倒れそうになっても、それをなんとか乗り越えて、それでも笑ってい前を向いて進む、と誓った芯のある、強くて優しい明るさ。


だからこそ、ママの笑顔も、彼の笑顔も、見ているだけで人を幸せにする。勇気を与える。元気になる。


それは、そこに彼らのあり方があるから。
すべてを受け止めて受け入れて前を向いて進む、その力強さとエネルギーが、わたしたちを元気付け、励ます。


何度でも何度でも繰り返し思う。


やっぱり人なんだと。


場所も内装も料理もドリンクももちろんとてもとても重要だ。


けれど、やっぱり人なのだ。


わたしたちは、「そのひと」に会うためにそこへゆく。

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