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心の景色の旅に出る。

こころふるえるだれかとの時間、そのものの中にあるだれかの想い、だれかの、じぶんのこころを旅したその軌跡を綴っています。

ハチドリのひとしずく。未来の可能性を信じ続けることが出来るか。

ハチドリのひとしずく


森が燃えていました
森の生きものたちは われ先にと 逃げて いきました
でもクリキンディという名の
ハチドリだけは いったりきたり
口ばしで水のしずくを一滴ずつ運んでは
火の上に落としていきます
動物たちがそれを見て
「そんなことをして いったい何になるんだ」
といって笑います
クリキンディはこう答えました

「私は、私にできることをしているだけ」

出典:「ハチドリのひとしずく」 辻 信一監修 光文社刊 2005年


車の横を、一台の自転車が走っていく。
北海道を自転車で縦断しているのだろうか。

すると、彼女が窓を開けて「がんばってくださーい!」と声をかける。

青年は少し驚いて、とても嬉しそうにほほえみ返した。

次にまた自転車が走っているのを見かけた時、彼女はまた同じようにそうした。

「こうやって、北海道をひとりで走っている時に、北海道の人に声をかけてもらったら、その人の記憶に残る。『北海道は優しい場所だった』そう思う人がひとりでも増えるといい」

彼女の師はそう言った。

素敵だな、と思う。

たったひとり。

けれど、その記憶は確実に残っていく。

北海道の旅を振り返った時に、あの時声をかけてくれた人の優しさを、きっと彼は思い出す。

昔は一気に制度を変えるのが近道だ、と思っていたけれど。今はひとりひとりに確実に届けることが結局は一番の近道なんじゃないかと思う。

「ハチドリのひとしずく」では、森がどうなったかは描かれてはいない。

たとえどんなに馬鹿にされても、どんなに無意味だと笑われても、まっすぐでひたむきな想いがひとを動かす。

最初は小さな小さなさざ波で、ともすればすぐにかき消えそうなものだとしても。
それがゆっくりと広がり、ひとりひとりから繋がるひとりひとりの心を打った時、それは大きなうねりとなる。

その可能性を、未来を信じられるか。
たったひとり、孤独に行動している時に、誰もが不可能だとしか言わない時に、それでもただひとり、信じ続けることが出来るか。

ハチドリのひとしずく

わたしにとって、ひとりひとりにとってのそれは何だろうか。

そんなことを、考えたひとときだった。

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