心の景色の旅に出る。

こころふるえるだれかとの時間、そのものの中にあるだれかの想い、だれかの、じぶんのこころを旅したその軌跡を綴っています。

心から、楽しそうに、幸せそうにしていること。それが周りのひとを幸せにする。

宿泊している宿で、即興のコンサート。


みんなの前で歌うなんて、と渋っていたお父さんも、宿のオーナー安藤さんがギターを持ってその隣に座ったとたん、目がきらきらと輝いた。

ギターについて語るときの瞳は本当に好きだと語っていて。しかもここにあるのは彼がかつて憧れた、最高級のもの。

そのギターとともに大好きなビートルズを歌う。

気持ち良さそうに、楽しそうに歌うその姿を見るだけで幸せになった。

本当に歌が好きなんだなあって。
何も語らなくても、彼の歌う姿がそれを全身から伝えていた。

プロとかアマとか関係なく。

とにかくそれが大好きなんだって、全身からそれが伝わるだけで、それだけで心が震える。

魂から、心から好きで好きでたまらない、とそんな気持ちで歌っているかどうか。

一曲歌い始めたら止まらなかった。
次から次へと歌いたい曲が出てくる。
彼の楽しそうな、満足そうな笑顔。

それがみんなを笑顔にする。

もう何十年も弾いていない、指が動かないと遠慮していたギターにも手が伸びる。

感慨深そうに、嬉しそうに、愛おしそうに。
ギターを弾く様も、とても楽しそうだった。

幸せだなあって思う。

そうやって、心から大好きなことを楽しそうにやることが、周りのひとを、初対面で何も知らなくても、幸せにする。

これが、本当に誰かを幸せにする、ということなのかもしれない。

楽しい嬉しい幸せな気持ちは伝播する。
それが心からのものであればあるほど。

わたしの父ほどの年齢の彼が、楽しそうにしている姿を見て、彼の奥さまが嬉しそうにそれを見ている姿を見て。

自分の両親を思う。

こんな風に、ふたりで旅をして。
旅先で素敵な出会いを経験して。

そうして楽しくてたまらない、というように生きてもらえたら。

これ以上嬉しいことはないなあと。

そんな風に思った。

彼らはここに鳥を見に来ていて。
まさか歌うともギターが弾けるとも思っていなかっただろう。

けれど、この夜は彼らにとってかけがえのないものになったと思う。

かつての青春の煌めきを思い出す時間。
かつての自分の情熱を、思い出す時間。

これが、旅先の奇跡だ。
そして、これが記憶に、心に残るということ。

ああ、やっぱり素敵な場所だなあと思う。

ここに来た人に、人生の転機を与える。
ここに来た人に、人生の喜びを与える。

ここに来る人はみんなきらきらと輝いている。
ここに来る人はみんな前を向いて生きている。

こんな場所に出会えたことが、来れたことが、この上なく幸せだ。

この夜も、幸せな夜だった。
ありがとうございます。

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