心の景色の旅に出る。

こころふるえるだれかとの時間、そのものの中にあるだれかの想い、だれかの、じぶんのこころを旅したその軌跡を綴っています。

晴れ渡った青空と日差しに包まれる。 ヨシダナギ個展 「HEROES」

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晴れ渡った、青空のような気持ちよさ。

その部屋に入って、最初に感じたこと。

とても気持ちが良くて、さあっと心が晴れていくような。
心地よい、気持ちのいい風がさあっと吹きぬけるような。

鮮やかで、瑞々しくて、美しい。
初夏の、新緑の生命の息吹を感じる季節の、軽やかで気持ちのいい太陽の日差しのような。

生命の息吹と、エネルギーに満ちあふれた、

ヨシダナギさんの写真は、そんな写真だった。


鮮やかで美しい青空。
どこまでもどこまでも続いていく、どこまでも空の広がりを感じるその透明な青さ。

写真の前に立つと、まずその軽やかさに、明るい日差しに、心が晴れ渡っていくのを感じる。

そして、彼らのまっすぐで透明な眼差し。
彼らが揺るぎなく持つ自分自身への誇り。

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その眼差しはまっすぐにわたしを射抜く。

写真の向こうにいるアフリカの少数民族スリ族は、色鮮やかな自然の美しさとともに。

ただただ、そのひとそのままで立っていた。

なにひとつ、余計なものを身にまとわず、
ただ、自分の肉体と、自分の世界を彩る美しい自然の花々や木々をその身にまとう。

その姿は、ただ美しかった。
その姿は、命の輝きだった。

そのひとそのままの生命の輝きと、そこに生きる植物たちの輝き。

色鮮やかに、美しい、そのいのちそのものを収めた写真。

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それは、ナギさん自身の瑞々しい生命の輝きでもあったと思う。

幼い頃に心奪われたアフリカの気高き人々への憧れだけを持って、その地に住む少数民族とともに暮らす。
彼らと同じものを食べ、同じように寝て、彼らが服を身にまとわないのであれば自分もまとわない。

彼らと寝食を共にし、彼らの生きるその世界に自分も同じ目線で身を置く。
ただ目の前を通り過ぎていくカメラマンではなくて、彼らと過ごすその間、彼女は彼らの生活の中にいた。

だからこそ、こんなにも気持ちのいい、透き通った、透明な写真が撮れるのだと思う。
彼女の写真からは、とても素直でまっすぐな、気持ちの良さだけが伝わる。

それはきっと、彼女自身のあり方だ。

自分を飾らず偽らず、ただありのままにまっすぐに、好きなものを好きだと言って、見たい世界を見るために、会いたい人に会うために、素直に一歩を踏み出す。

そんな彼女の素直でまっすぐなあり方が、ひとりひとりが持つ輝きだけをその身にまとって生きる彼らのあり方と合わさって、こんなにも爽快で、気持ちの良い、軽やかで優しい太陽のような写真になるのだと思う。

そんなひとりひとりの色鮮やかな原色の輝きが心を震わせるスリ族だけではなく、様々な部族の写真の中で、もうひとつわたしが心を奪われた写真。

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誇り高く気高い女戦士。
そんな言葉が自然と浮かぶ。

強くこちらを射抜く眼差し。
自分自身への誇りと、矜恃と、揺るがぬ信念を感じるその瞳。

まっすぐに射抜くその眼差しはとても強く、激しさと厳しさを感じてもおかしくないはずなのに、わたしが彼女の眼差しから感じたのは、大きく深い愛だった。

すべてを受け入れ、包み込み、そして自分の足で、自分の信念で、前に進もうとする。

彼女のあり方が、その瞳から感じられるようだった。

彼女がそこにいるわけではない。
そこにあるのはただ一枚の写真。

それでも、この写真の先にいる彼女に会えたような気がした。
彼女の存在を、想いを、あり方を、見せてもらったような気がしたのだ。

彼女が強く強くその瞳で語りかけてくる、自分の心と体、それだけで生きること。

荒野の中で、何もないただ赤茶けた大地だけが広がるその大地に、彼女はその身ひとつで立つ。
彼女自身の美しさ、それだけをともに。

わたしは迷っていた。くすぶっていた。歩みを止めていた。後ろを向いてすらいたかもしれない。

そんなわたしの心を見抜かれた気がした。
そんな状態にあったわたしが、ここで彼女に会うのが必然だったような気すらした。

直接会わなくても、出会うことはできるのか、と。
この時初めて知った。

実際には単にわたしの妄想に過ぎないのかも知れないけれど、わたしは確かに写真のその先の彼女に会ったような気がしたのだ。

小さなギャラリースペースに、2時間以上はいただろうか。
ひとりひとり異なる、素晴らしく、眩しく、鮮やかな輝きを放つ彼らのその光をただただ浴びていた時間だった。

精神的にかなり疲弊していたのに、この時間で、わたしの心がどれだけ軽やかになったか。どれだけ彼らからエネルギーをもらったか。

本当に、奇跡のような時間だった。
こんな、奇跡のような場を、奇跡のような写真を撮るヨシダナギさんに、心から感謝したい。

本当に、本当に、ありがとうございます。
あなたを知れて、あなたの写真に触れることが出来て、わたしは心から満たされました。
ただただ、この出会いに感謝します。

個展は8月28日まで。

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ヨシダナギ 「HEROES

SURI COLLECTION

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