心の景色の旅に出る。

こころふるえるだれかとの時間、そのものの中にあるだれかの想い、だれかの、じぶんのこころを旅したその軌跡を綴っています。

オルゴールワールド 〜西野亮廣独演会2016 8月13日夜〜

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西野亮廣独演会2日目。8月13日夜。

 

会場に入った瞬間から、なんだか幸せな気持ちになった。

おもちゃ箱みたいなステージ。こどもの頃に夢見たようなおとぎの国。

みんながこれから始まるワクワクする楽しい時間に心躍らせていて、それが伝わる感じがたまらなく幸せな気持ちにさせた。

 

純粋に、すごいなあって思う。

まだ西野さんは出てきていない。

それなのに、空間だけで、期待だけで、こんなに心踊る場を作ることができるんだと。

 

まあ、わたしがめちゃくちゃ楽しみにしていたっていうのもあるんですが。

それでも、それを差し引いた時の場の雰囲気や空気は伝わるし感じ取れる。

開演前から、これだけあたたかい場所ができているっていうのは、すごい。

 

この夜は、絵本の読み聞かせ。

アノアさんの、心がウキウキ踊り出すような、優しいピアノの音色が会場を優しく包む。

アノアさんが本当に楽しそうに、嬉しそうにピアノを弾いているのが音色から伝わって、聴いているこちらも楽しくなった。

 

絵本の世界に入るのに、とっても素敵なご招待。

 

絵本の世界の住人よろしくちょっとレトロなスーツに身を包んだ西野さんが現れる。

たとえて言うならそうだなあ、おとぎの国の街角の、時計の修理屋さんのような(これで伝わるんだろうか)。

 

西野さん自身は読み聞かせがそれほど上手いわけではありません。

昼にもすでに1公演を実施しており、喉の調子がいまいちということもあるかと思いますが、詰まったり噛んだりする箇所もいくつかありました。

ただし、最後のえんとつ町のプペルだけは圧巻でした。あれは素晴らしかった、本当に。今制作している最中だからというのもあるのかもしれませんが、本当に、世界に入り込んでいた。魂がこもっていたとそう思います。

 

ですが、原作者だからこそ本の中に込められる想い、そして、何よりも内容が本当に素晴らしい。

正直なところ、朗読が始まった時にはこれほど感動し、心震える時間となるなんて、想像できませんでした。

 

本当に、素晴らしい時間だった。

 

まだ独演会は始まったばかりですが、わたしにとってはこの回こそが、最も聞くべき回だったんじゃないかと確信するほどに、とてもとても心満たされる時間でした。

 

わたしの書く感想はいちいち長いかつ3冊すべてについて書き留めておきたいので、3回に分けて投稿します。

なお、絵本のネタバレがありますのでご注意ください。

 

 

 
オルゴールワールド
 
 
 
 
わたしが、西野さんの描いた絵本の中で一番好きな本。いつか読んで欲しいと姪にあげた絵本。
 
 
オルゴールワールドは、タモリさんのひとつの問いかけから生まれた。
 
 
戦争は、なんで起こると思う?
 
好きって気持ちがあるからだよ。
 
好きな人を、物を傷つけられた、
 
それに対して許せないっていう、
 
悲しみ怒りの気持ちがあるから。
 
誰かを、傷つけてしまうんだよ。
 
 
なあ、どうしたら、
 
戦争はなくなると思う?
 
自分なりの答えを考えてみろ。
 
 
Love&Peaceなんてない。
Loveがあるから、Peaceにならないんだ。
 
 
西野さんの出した答え。
それが、オルゴールワールドだった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
かつて、ひとはひとつだった。
けれど、ひとはふたつにわかれてしまった。
 
かたや、空へ。
かたや、森へ。
 
何百年も昔にわかたれた両者は、もはやお互いの存在すら忘れてしまった。
 
空に人が住んでいるなんて夢物語だったし、
森に人が住んでいるなんて夢物語だった。
 
ある日、カンパネラが空を見ようとした望遠鏡。
うっかりひっくり返して地の底にある森を見る。
 
そこにいたのは自分と同い年の女の子。
 
カンパネラは森に人が住むということを知る。
 
大人になったカンパネラは、森の調査団の一員となる。
 
あの時の彼女に会うために。
森に人が住むことを知るために。
規則を破って彼は彼女に会いに行く。
 
 
仲間と離れ、森を進んだその先には。
 
美しく凛とした佇まいの彼女がいた。
 
彼女は、自分たちと同じ人間だった。
 
怒り、笑い、微笑み、分かり合える。
 
自分たちと何一つ変わることのない。
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けれど、ひとつだけ違ったこと。
 
彼女たちの世界には、「好き」という言葉がなかった。
 
彼女たちの世界には「好き」という言葉がなくて平和で。
自分たちの世界には「好き」という言葉があって、戦争ばかりしている。
 
好きだからこそ、大切だからこそ、何を犠牲にしても守りたい。
好きだからこそ、大切だからこそ、傷つけられた時の嘆きは深い。
 
守りたいという気持ちが、傷つけられたことに対する悲しみと怒りが、誰かを傷つけ、それがやがて戦争になる。
 
戦争は、否応なく好きな人を、場所を、物を、奪っていく。
そうして、奪われた悲しみと怒りが、もうこれ以上決して失いたくない、守りたいという想いが、戦争の連鎖につながっていく。
傷つけられて奪われて傷つけて奪ってまた傷つけられて奪われる。終わりのない無限連鎖。
 
でも、「好き」という言葉は自分たちの生活に深く深く染み込んでいて、その言葉を手放すことはとてもとても難しい。
誰もが万人を無条件で愛するという、神の境地のようなものに達することができるわけではない。
 
そしてまた、「好き」という気持ちがわたしたちの人生を、日々を豊かなものにしているのも事実なのだ。
「好き」だからこそ頑張れる。「好き」だからこそより素晴らしい未来を見れる。
「好き」の力はあらゆるものの原動力でもあるとそう思う。
 
 
カンパネラが、彼女、ヨナヨナと交わした約束。
 
どんなに時間がかかっても、空と森を繋げてみせる。
阿呆でいい。阿呆でなければ世界なんて変えられない。
 
ぼくらはおなじにんげんだ。
つながれないはずかないんだ。
 
僕はもう、二度とこの森に戻ることはできないだろうけど、君との約束を、何年かかっても叶えてみせる。
 
ふたりで交わした約束。
彼女から彼の手に渡った、とても美しい音色を奏でるアンモナイトのオルゴール。
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あれから何十年もの月日が経った。
 
何年も何十年も、大きなラッパを作り続けるカンパネラ爺。
 
何を聞いても誰に聞かれても、彼の答えはただ一つ。
 
「ちょっくら奇跡に用がある」
 
 
 
ラッパの先は空の街を超え、雲を超え、空の国の遥か上空、遥か彼方まで。
そうしてある日、カンパネラ爺が取り出したのは、あの時のオルゴール。
 
 
大きなラッパの中を伝って、オルゴールの音が奏でられる。
この世のものとは思えないほど優しく美しい音色が街を包んでいく。
 
街の人たちは、聞いたこともない優しい音色に手を止め耳を傾ける。
その時、街のすべての人の心は美しく、優しい音色に感動していた。
 
 
あの時、カンパネラが初めて聴くオルゴールの音色に心奪われたように。
 
 
その音色は、街を超え、雲を超え、あの森まで響き渡った。
森の上から降りそそぐ、優しく美しい、よく知るあの音色。
 
空から降りそそぐその音色は、ヨナヨナの耳にも届く。
 
二人の約束。たとえ何十年かかっても、必ず。
 
 
ヨナヨナの目から、涙がこぼれる。
彼女の心は感動で満たされていた。
こどもたちも空の音を喜んでいた。
 
約束は果たされた。
 
空と森は繋がったのだ。
 
確かに、この時、空のひとと、森のひとは、同じ音色を聴いて、心震わせた。
同じものに感動する。それは、心が繋がった、ということを示すのではないだろうか。
 
同じものに感動するのは、その中に光を見ているから。
それは美しかったり楽しかったり嬉しかったり。
同じものを見ていても、生きてきた、育ってきた世界が違えばそれをわかちあえない。
 
けれど、それは裏を返せば、同じものに感動できるなら、その部分では世界を共有しているということ。共有できるということ。
わかりあえるということだ。
 
共有できる世界があるなら、わかりあえる何かがあるなら、それを広げていくことができるはず。
そのとき、その相手は、全く何ひとつわからない得体の知れないものではないから。
その一点では間違いなく、共有できる何かがあるのだから。
 
最初に読んだとき、実は、何だ音楽か、と思った。
たった一瞬繋がっただけ、それで何が変わるんだ、とも。
でも、多分たった一瞬でも繋がることが大切なのだと、今はそう思う。
 
だから、今、このときに改めて西野さん本人の朗読で、この本と出会い直せたのが良かったなあと思う。たった半年の間に、これだけ深くこの物語と向き合うことができるようになったのは幸せだ。
 
 
西野さんは言う。
 
誰かを傷つけようとしていても、笑ってたら、感動してたら、その間はピストルの引き金を引かない。
 
笑い終わって、感動し終わって、それから引き金を引くと思う。
 
だったら、その時間を限りなく長くすれば、戦争をどんどん先延ばしにできるんじゃないかって。

本当に、そう思う。
きっと、そこにこそ、アートやエンタメの真の価値がある。
そんな気がする。


西野亮廣独演会

オルゴールワールド

オルゴールワールド

オルゴールワールド


アノアとペロ